能力とは一体何なのか?
人事考課で取り扱う能力ってどのようなものなのでしょうか?
辞書では「物事をやり遂げる力」「事をなし得る力」などと書かれておりますが、能力はいろいろな角度から見ると違った見え方がするみたいです。
前回にも記しましたが、英語で能力を分類すると
skill:腕前、技量
ability:成し遂げる力
faculty:知的能力
capacity:潜在的能力
competence:適性
があり、私たちが通常能力だと認識しているのは「skill」「ability」だと思われます。また、人事考課においても「skill」「ability」を測定することが多くの企業で取り入れられているようです。
では「skill」「ability」はどのように習得でき、どのような能力が必要なのか?
能力を習得するには、たぶん書物を読んでも習得できるものではなく、幾度かの経験を通じて身につくものだと考えられます。また、求められる能力は1つだけでなく、幾つもの能力が複合的に求められ、職種や職位によって求められることも異なります。
次の図はロバート・カッツ(アメリカの経済学者)のモデルを簡単にしたもので、この図によりますと下位職位ではテクニカルスキル(知識・技能)が求められ、上位職位ではコンセプチュアル・スキル(概念化能力・課題対応能力)が求められるようです。
また、最近では「competence」いわゆる「コンピテンシー」を取り入れている企業も少なくありません。
「competence」は、1973年、米ハーバード大学の心理学者マックレラン教授が発表した論文で、同教授は職務遂行面で高い業績をもたらす職務遂行特性を把握するために高い業績を実現した者(ハイパフォーマー)とそうでない者と比較する手法が提案されました。一般的に広く認められている定義として「高い業績に繋がる重大な職務行動特性であって、測定可能で観察可能なもの」とされています。
ただ本来であれば、「competence」は社員の行動を観察して心理学的に「高い業績に繋がる重大な職務行動特性」を見つけ、考課項目としなければならないのですが、これをやろうと思うと莫大な時間と費用がかかることは言うまでもありません。しかし、こんなことをやっている企業はほとんど無く、「コンピテンシー・モデル」を使って簡易に考課項目としているのが実情でしょうか。
いずれにしても、企業はどのような能力を測定すればいいのか、企業業績に結びつける事ができる能力とは何なのかを見極める必要がありそうです。